写経をしてみる

昨今の「脳ブーム」で、ぬり絵が注目を浴びている。一定のスペースに、はみ出さないように色を塗る。どこにどんな色を入れるかを考える。色に濃淡をつける。そうした作業が脳を刺激するというので、ぬり絵を始める人が増え、おかげで色鉛筆が売れに売れているそうだ。ぬり絵が脳を刺激するのは、紛れもない事実だ。しかしその刺激は、さして大きいものではない。ある程度、ぬり絵に慣れてきたら、ステップアップする必要がある。

ぬり絵より大きな刺激を得る方法の一つに、「写経」がある。これはかなり高度な「脳トレ」だ。まず、筆という「扱いにくいもの」を使わなければならない。複雑な漢字を正しく書くのも、簡単なことではない。一文字間違えたらやり直しになる、という緊張感を得ることもできる。言うまでもなく、書の「道」は奥が深い。技術を高める努力は、一生続けていけるのだ。

一方、写経を始めるのはとても簡単だ。町の文房具店に行けば、書道用具はほんの数千円で揃えられる。近頃は「お手本」をインターネットでダウンロードすることもできるようになった。もちろん、写経本来の目的も忘れるべきではないだろう。「身を清めてから机に向かう」「香を焚く」「書く前に合掌する」といった作法に則り、心を込めて書く。これは脳の鍛錬のみならず、よりよい精神生活にもつながるはずだ。

— posted by 楢島 at 12:40 am